C#入門編

Visual Studio 2026 発表!AI時代の次世代IDE ~4年ぶりのメジャーアップデート~

2025年9月9日にVisual Studio 2026 Insiders (先行版)がリリースされました。

今回は、プログラミングにおける強力な味方である Visual Studio の次期メジャーバージョンである Visual Studio 2026 について紹介します。

以下の方に役立つ内容となっています。

  • Visual Studioの最新情報に興味がある方、特に C#開発をされている方
  • Visual Studio 2026の特長をざっくり押えておきたい
  • 開発効率の向上、特にパフォーマンスチューニングやAIによる支援に期待する方
プロ太

私がVisual Studio 2026 Insidersを実際に動かしてみた感触をお伝えします!

Visual Studio2022(2021年)以来の大型バージョンアップデートというのが今回の位置付けです。一緒に詳しく見ていきましょう!

Visual Studio 2026とは?

Visual Studioは、Windows環境における最も包括的なIDEです。特に.NET開発では高い完成度を誇り、企業の開発プロジェクトでも多く活用されています。

Visual Studioの基本については以下の記事も参考にしてください。

C#入門編 Visual Studio 2022 初心者向けガイド ~基本から応用まで~ 今回はプログラミングにおける強力な味方であるVisual Studioについて解説します。 この記事では以下について説明します。...

Visual Studio 2026は、2021年11月のVisual Studio 2022の発表以来の大規模アップグレードです。

プロ太

VS2017→VS2019→VS2022と進化してきたので、今回のVS2026はけっこうひさしぶりのバージョンアップなのですね。

入手方法

こちらからVisual Studio 2026 Insidersをダウンロードできます。Insidersは実験的な先行リリース版で、新機能をはやく試してみたい開発者向けです。

この版で、ユーザからのフィードバックに基づき改良が行われた後に、Stable版がリリースされる予定です。(参考:InsidersとStable

プロ美

VS2022を普段使っているんだけど、VS2026 Insidersをインストールしても大丈夫なのかな…。

プロ太

VS2022・VS2026 Insidersは1つの環境で共存できるので安心してください。両方を同時に起動して使うこともできますよ。

新機能・改善点の一覧

Visual Studio 2026 Insidersのリリースノートをみると、新機能・改善点の一覧を確認できます。以下のような項目になっています。

カテゴリ主な新機能・改善点
生産性拡張エディターコントロール、検索除外設定、適応貼り付け、Copilotアクション(コンテキストメニュー/URL/応答改善)、独自モデルをチャットに持ち込み、Mermaidチャート描画
デバッグ & 診断Profiler Copilotエージェント、BenchmarkDotNetテンプレート、新Profiler起動UX、インラインポストリターン値、テキストビジュアライザー検索
Git ツールインラインPRコメント、AIによるコードレビュー改善、Copilot ChatがGitコンテキストを参照
IDE 本体コードカバレッジ表示、新しい外観、モダン設定エクスペリエンス
クラウドCloud Servicesの延長サポート廃止、Service Fabricツール更新
.NET.NET 10 / C# 14対応、ホットリロード強化、Razorエディター改善
C++Windowsツールセット対応、C++ STL更新、クラスビュー改善、clang-tidy強化、C++属性の構文ハイライト、古い機能の削除/廃止

これに加え、Visual Studioのパフォーマンス改善(高速化)も、大きな改善点として挙げられています。

プロ太

このなかで、VS2022の最新版では(実験的に?)すでに使える機能もいくつか含まれているようです。

そのような機能も、VS2026であらためて正式版・安定版として導入されるということでしょう。

注目すべき新機能と改善点

たくさんの新機能・改善があるVS2026において、言語・プラットフォーム連携の主要ポイント「.NET 10 / C# 14 対応」となります。

そして、Visual Studioという統合開発環境の主要なポイントVisual Studio公式ブログによると、以下の3つです。

  • (1)AI統合
  • (2)UI改善
  • (3)パフォーマンス改善
プロ太

この3点についてそれぞれみていきましょう!

(1)AI統合

これまでのVisual Studioでは、AI機能(GitHub Copilot)は「便利な追加機能」の1つという位置づけでした。GitHub Copilotの基本については以下も参考にしてください。

Visual StudioでGitHub Copilot入門!~C#初心者のためのAIコーディング支援ガイド~ プログラミング学習において、GitHub Copilotなどのコード補完AIツールは非常に強力な味方となります。 しかし、C#初...

しかし、Visual Studio 2026では、AI機能をコーディングやデバッグなど様々な場面で、開発者が自然に使えるような作りになり、GitHub Copilotが進化しています。

例えば、以下のような機能があります。

  • あらゆる場面でCopilot呼び出し
    コーディング、デバッグなど様々な場面でAIへ質問が可能。
  • 適応貼り付け(Adaptive Paste)
    コピーしたコードを自動的に最適な形式に整えて貼り付けてくれる。
  • Profiler Copilotエージェント
    プログラムの実行状況をAIが解析し、ボトルネック改善のヒントを提示。
  • AIによるコードレビュー支援
    Pull Requestレビュー時にAIが改善点を指摘し、品質向上をサポート。
  • 独自AIモデルの利用
    自分の好きなモデルをVisual StudioのCopilotチャットに組み込める。

AI統合については、VS2022でも更新のたびに段階的に一部機能が追加されていました。VS2026では更にそれが強化されて統合がより進んでいます。

いくつか具体的にみてみましょう。

あらゆる場面でCopilot呼び出し

以下のようにMainメソッドを右クリックすると、「Copilot Actions」で、Explain/Generate Comments/Generate Tests/Add to Chatなど選べます。
(Copilot ActionsについてはVS2022では存在しませんでした)

プロ美

クラス・メソッド・変数とかを右クリックして、それについて説明してもらったりコメントつけてもらったり、すぐにできるんだね!

プロ太

そうですね。「Add to Chat」でクラス・メソッドなど様々な情報を追加し、それらを参照しながらAIとチャットで議論することもできますね。

デバッグ中に変数値(例:args)を確認するときにも、Copilotに説明させることができます。(この機能はVS2022の最新版にもありますね)

プロ美

コーディング、デバッグ、あらゆる場面で、そのときのコンテキストを踏まえてCopilotに質問できるんだね!

Profiler Copilotエージェント

VS2026のAI統合における目玉機能の1つです。(こちらも、現状のVS2022は存在しない新しい機能ですね)

プロファイラを実行し、その結果に基づいてAIがアプリの性能に関するボトルネックを調査します。

以下のようなコードについてProfiler Copilotエージェントで調査をさせてみます。

namespace ConsoleApp1;

using System.Text;

class Program
{
    // 繰り返し回数を定数として定義
    private const int ITERATION_COUNT = 100000;

    static void Main(string[] args)
    {
        TestNormalConcat();
        TestStringBuilderConcat();
    }

    // 通常の文字列連結
    private static void TestNormalConcat()
    {
        string normalString = "";
        for (int i = 0; i < ITERATION_COUNT; i++)
        {
            normalString += i.ToString() + ", ";
        }
    }

    // StringBuilderを使用
    private static void TestStringBuilderConcat()
    {
        StringBuilder sb = new StringBuilder();
        for (int i = 0; i < ITERATION_COUNT; i++)
        {
            sb.Append(i.ToString()).Append(", ");
        }
        string builderString = sb.ToString();
    }
}

「@プロファイラー」をつけて、チャットでCopilotへアプリのボトルネック調査を依頼します。

「確認」を押すと、AIが自動でプロファイラを起動し、アプリを実行して分析をはじめます。そして、分析が終わると以下のように結果を教えてくれます。

プロ美

TestNormalConcatメソッドのCPU消費が全体の73%で、文字列連結使っているのが原因って教えてくれているね!

プロ太

プロファイラ→AI分析までがシームレスに行われるのが強みですね。大規模なアプリにおける性能改善で、とても役立ちそうです!

(2)UI改善

UIの基本構成・操作感などが大きく変わったわけではありませんが、デザイン含め様々な部分が改善され、使い勝手が向上しています。いくつかを紹介します。

例えば、ソリューションエクスプローラでは、以下のように、アイコンのデザインがスッキリした感じになっています。

プロ美

「フォルダアイコン」が特に見やすくなったかな!

オプションの設定についても、画面構成・項目が整理され見やすくなっています。また、JSONとしても編集可能になっている点も嬉しいですね。

細かい点ですが、コードエディタの左下で文字コードが表示されるようになっています。

プロ太

痒いところに手が届くような改善が、地道に積み上げられる印象ですね。

(3)パフォーマンス改善

VS2026では「速さ」も大きく進化しています。公式ブログによると、以下のような点があげられています。

  • 起動が速い
    Visual Studio自体の立ち上がりが速くなり、すぐに作業を始められる。
  • ソリューションの切り替えが軽快
    大きなプロジェクトを開いたり、Gitのブランチを切り替えたりする時の待ち時間が短縮された。
  • ビルドとデバッグの実行が高速
    コードを修正して「F5」で実行する流れが、よりテンポよく行える。
プロ太

公式ブログによると、実際に「VS2022よりも速くなった」というフィードバックもあるようです。

私が少しだけ試したところ、大きな違いはまだわかりませんでしたが、これはプロジェクト規模など条件にもよるかもしれませんね。

今後も色々と試しながら、確認していきたいと思います。

その他

上述した3つの目玉(AI統合・UI改善・パフォーマンス改善)の他に、VS2026を使ってみて、私が個人的に気に入った点を2つ紹介します。

(1)Community、Pro版でコードカバレッジ計測が可能

VS2022までは、Enterprise版でのみテストのコードカバレッジ計測が可能でしたが、VS2026ではCommunity、Pro版でも活用できます。

プロ美

Community版で使えるってことは、無料で使えるんだね!

以下のように、モジュールごとのカバレッジを確認したり、コード上で実行された行を色分けして表示できます。

プロ太

Visual Studioに標準で組み込まれていて、誰でもすぐに使えるというのは嬉しい点ですね。

自動テストをつくるときに、カバレッジ情報はとても参考になるでしょう。

(2)ソリューションファイルはslnx形式が標準に

VS2026でソリューションを作成して保存すると、sln形式ではなくslnx形式で保存されます。

slnは複雑で一見するとわかりにくい形式でした。ConsoleApp4というプロジェクト1つだけでも、以下のような感じです。

Microsoft Visual Studio Solution File, Format Version 12.00
# Visual Studio Version 17
VisualStudioVersion = 17.14.36429.23 d17.14
MinimumVisualStudioVersion = 10.0.40219.1
Project("{FAE04EC0-301F-11D3-BF4B-00C04F79EFBC}") = "ConsoleApp4", "ConsoleApp4\ConsoleApp4.csproj", "{5DAF0A73-678A-4E2A-8E1C-B17087697A57}"
EndProject
Global
	GlobalSection(SolutionConfigurationPlatforms) = preSolution
		Debug|Any CPU = Debug|Any CPU
		Release|Any CPU = Release|Any CPU
	EndGlobalSection
	GlobalSection(ProjectConfigurationPlatforms) = postSolution
		{5DAF0A73-678A-4E2A-8E1C-B17087697A57}.Debug|Any CPU.ActiveCfg = Debug|Any CPU
		{5DAF0A73-678A-4E2A-8E1C-B17087697A57}.Debug|Any CPU.Build.0 = Debug|Any CPU
		{5DAF0A73-678A-4E2A-8E1C-B17087697A57}.Release|Any CPU.ActiveCfg = Release|Any CPU
		{5DAF0A73-678A-4E2A-8E1C-B17087697A57}.Release|Any CPU.Build.0 = Release|Any CPU
	EndGlobalSection
	GlobalSection(SolutionProperties) = preSolution
		HideSolutionNode = FALSE
	EndGlobalSection
	GlobalSection(ExtensibilityGlobals) = postSolution
		SolutionGuid = {AA7A4280-36EB-45EA-AF7B-EE79E9701E9A}
	EndGlobalSection
EndGlobal

同じものが、slnxだと以下になります。

<Solution>
  <Project Path="ConsoleApp4/ConsoleApp4.csproj" />
</Solution>
プロ美

すごい簡潔になってる!

プロ太

これだと、手動で編集したり、Gitで差分を確認したりといったときに、とてもわかりやすくなりますね!

slnxはVS2022でも使えていたようですが、VS2026では正式にsln形式の後継としてslnxの導入が進みそうですね。

まとめ

本記事では、Visual Studio 2026 Insidersの新機能と改善点について詳しく解説しました。

Visual Studio 2026は、2021年のVS2022以来の大型アップデートであり、AI時代に対応した次世代IDEとして進化しています。

主要な改善点として以下の3つが挙げられます。

  • AI統合の大幅強化:コーディング・デバッグ・性能分析まで、開発プロセス全体にAIが深く組み込まれた。
  • UI・UX改善:アイコンデザイン改善、設定画面の整理、JSON編集対応など。
  • パフォーマンス向上:IDE起動、ソリューション切替、ビルド・デバッグ実行の高速化。

加えて、Community/Pro版でのコードカバレッジ計測や、シンプルな slnx形式の正式採用 など、開発者に嬉しい機能追加も含まれています。

VS2026 InsidersはVS2022と共存できるため、新機能を安心して試すことが可能です。
特にAI統合による効率化は、今後の開発スタイルを大きく変えるポイントになるでしょう。

プロ太

AI時代における開発環境の進化を体感できるVS2026、ぜひ試してみてください!

引き続き、Visual Studioを活用した効率的な開発について学んでいきましょう。

ABOUT ME
プロ太
●仕事:現在は個人事業主(メンター・情報発信等)、大手IT企業で技術者・マネージャ(15年以上)、大学の外部講師、学生時代は学習塾で非常勤講師(約4年間) ●博士(工学)の学位取得 ●高校生の頃に独学で始め、プログラミング歴20年以上 ●言語:C# 、Java、C/C++、Python、JavaScript/TypeScript等 ●分野:Webアプリ、テスト自動化、生成AI、デバッガ、コード解析、ドメイン特化言語

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