2025年11月26日にVisual Studio 2026が正式リリースされました。
今回は、Visual Studio 2026の全新機能・改善点をカテゴリ別にざっくり解説していきます。(C#開発者を主に対象としています。)
以下の方に役立つ内容となっています。
- Visual Studio 2026の新機能を網羅的に把握したい方
- AIを活用した開発効率向上に興味がある方
- VS2022からの乗り換えを検討している方
VS2026のInsider版については速報として、以前の記事で「注目機能」についてピックアップして紹介しました。
今回は正式リリースを受けて、あらためて全機能を俯瞰します。以前の記事と重複する部分は適宜そちらも参照しつつ説明をしていきます。
多くの新機能が追加されています。一緒に見ていきましょう!
動画も作成しています。
Visual Studio 2026の位置づけ
Visual Studio 2026は、VS2022以来の大型アップデートです。こちらからダウンロードして使うことができます。
主な特徴として、以下の3点が挙げられます。(Microsoft公式ブログを参考)
- AIネイティブIDE:GitHub Copilotがあらゆる場面で自然に使える設計
- パフォーマンス向上:大規模ソリューションの読み込み高速化、デバッグ起動の30%高速化
- UI刷新:モダンなデザインへの再設計、5,000件以上のバグ修正による品質向上
また、VS2022のプロジェクトや拡張機能とも互換性があり、4,000以上の拡張機能がそのまま動作します。
移行がスムーズにできるのは嬉しいね!
早速、VS2026の新機能をみてみましょう!
まずVisual Studioの基本について知りたいという方は以下の記事も参考にしてください。
Visual Studio 2026の新機能
Visual Studio 2026の新機能については、リリースノートで一覧をみることができます。次のようなカテゴリと機能があります。
- IDE関連 – 「もしかして?」機能、コードカバレッジ、新しい外観、モダンな設定エクスペリエンス、M365 Agents Toolkit、セットアップアシスタント等
- 生産性向上 – アダプティブ貼り付け、コードアクションの即時実行、Mermaidチャートのレンダリング、拡張エディターコントロール、検索でのファイル除外、キーボードショートカットのカスタマイズ
- GitHub Copilot – URLコンテキストの理解、応答品質の改善
- デバッグ & 診断 – 単体テスト用デバッガーエージェント、拡張例外分析、インライン表示機能(if文、変数、パラメーター、戻り値)、F5パフォーマンス向上、Profiler Copilotエージェント、BenchmarkDotNetテンプレートなど
- Gitツール – インラインPRコメント、コードレビュー改善、Copilot ChatへのGitコンテキスト統合、PRコメント提案の適用
- クラウド – Container ToolsでのPodmanサポート、Service Fabricツール更新
- .NET – .NET 10およびC# 14対応
- C++ – MSVCビルドツール v14.50、STL更新、クラスビュー改善、clang-tidy機能強化、ARM64 AddressSanitizerサポートなど
全体として「AIの深いプラットフォーム統合」が大きなテーマになっていますね。
Copilot関連やProfiler/デバッガーのエージェント機能など、AI支援が各所に組み込まれている印象です。
それでは、それぞれもう少し詳しくみていきましょう。
VS2022でもプレビュー版としてすでに使えていた機能もあります。また、VS2026においても、まだ一部プレビュー版の機能もあるようです。
IDE関連
「もしかして?」機能
All-In-One Search (Ctrl+Shift+P)で検索時に、Copilotがタイプミスや曖昧な検索を検出し、より適切な候補を提案してくれます。ファイル名をうろ覚えでも素早く発見できます。
コードカバレッジ
Community版・Professional版でもコードカバレッジ計測が可能になりました。これまでEnterprise版限定だった機能が、無料で使えるようになったのは大きな進歩です。
前回記事のその他(コードカバレッジ部分)も参考にしてください。
新しい外観
Fluent UIデザインシステムに基づいたUIの刷新が行われました。アイコンがより洗練され、視認性が向上しています。また、11種類の新しい色付きテーマも追加されました。
モダン設定エクスペリエンス
従来の「ツール → オプション」ダイアログが、Fluent UIに準拠した新しい設定画面に置き換わりました。設定項目が整理され、見やすく・探しやすくなっています。

JSON形式でも編集できるようになっていますね。
M365 Agents Toolkit の更新
「GitHub CopilotのAI支援でTeamsアプリやCopilotの拡張機能を作るのが楽になった」 というアップデートです。
例えば、GitHub Copilot Chat で @teamsapp とメンションすると、M365開発に特化したサポートが受けられます。
デバッグ・テスト・モダナイズ…と色々な専用サポートエージェントが増えてきてるね!
セットアップアシスタント
VS2026へのアップグレード後に、不足しているツールセットやSDKを自動検出し、ワンクリックでインストールできる機能です。
例えば、.NET開発者向けには適切な.NET SDKへのリンクが表示されます。
生産性
アダプティブ貼り付け(Adaptive Paste)
コードを貼り付ける際に、Copilotが貼り付け先のコンテキストを分析し、自動的に最適な形に調整してくれます。
具体的には、インターフェースの未実装メンバーの補完、フォーマットの調整、プログラミング言語間の変換(例:C++からC#への変換)などが可能です。
これ、試してみたんですが私の環境ではなぜか動かず…。リクエストは飛んでるっぽいのに応答が返ってこない状態です。
使えてる方いたら感想教えてください!
コードアクションをすぐに実行
右クリックのコンテキストメニューから、Copilot Actionsに直接アクセスできるようになりました。
Explain(説明)、Generate Comments(コメント生成)、Generate Tests(テスト生成)、Add to Chat(チャットに追加)などがワンクリックで実行できます。

Mermaidチャートのレンダリング
Visual StudioがMarkdownファイル内のMermaidチャートをレンダリングできるようになりました。
Copilot Chatに「このコードのXXX機能部分をYYY図にして」と頼めば、以下のようにMermaid形式で生成してくれます。

複雑なコードの理解とか、設計ドキュメント作成に使えそうだね!
拡張エディターコントロール
エディタ下部のマージン(ステータスバー領域)が大幅に強化されました。
- 行・列・文字位置が統合表示される
- 複数選択時は、選択数・文字数・行数が表示される
- ファイルのエンコーディングが表示され、エンコーディング変更も容易に

検索でのファイル除外
ビルド成果物・中間生成物など、検索に含めたくないファイルをグローバルに除外できるようになりました。
使い慣れたキーボードショートカット
VS Codeなど他のエディタと同じショートカットが追加されました。例えば「Ctrl+P」でコード検索が開きます。(従来の「Ctrl+T」も使えます)
VS Codeが業界標準的になってきているので、VSのキー体系も徐々にそちらに寄せていく方針なのかもしれませんね。
GitHub Copilot
Copilot URLコンテキスト
Copilot ChatにURLを貼り付けると、そのページの内容を参照して回答してくれます。Copilotの学習データにない最新情報や、特定ドキュメントを参照させたい場合に便利です。
Copilotの応答改善
コード検索の精度向上などCopilotの性能が向上しています。また、行の認識精度も上がり、「XX行目について教えて」という指示がより正確に反映されるようになりました。
私はGitHub Copilotをずっと使っていますが、回答・作業の精度は着実に進化を続け、使いやすくなっている実感がありますね。
(まあ、ベースとなるモデルの性能向上も大きいかもしれませんが…)
GitHub Copilotを始めたみたい人は、ぜひ以下も参考にしてください。基本からAIエージェント活用まで初心者向けに解説しています。
デバッグ & 診断
単体テスト用デバッガーエージェント
デバッガ用エージェントを使うと、AIが自律的にデバッグを行ってくれます。テスト失敗時にシームレスにその原因調査のデバッグを行うことも可能です。

以下のように、AIが自分で仮説をたててブレークポイントを設置し、変数値を確認するなどして、デバッグ作業を進めます。

デバッグの試行錯誤をAIが自動化してくれるのは、大きな効率向上につながりますね。
拡張例外分析
例外発生時のCopilot分析が、リポジトリのコンテキストを参照するようになりました。過去のバグ、Issue、Pull Request、修正履歴を照合して、原因特定や修正方法を提案します。
ただ現在はAzure DevOpsのみ対応で、GitHub対応は近日予定とのことです。
インラインif文
if文のデバッグ時に、条件の評価結果がインラインで表示されるようになりました。複合条件の各部分がどう評価されたかを個別に確認できます。

インライン変数とパラメーター
メソッドのパラメーター値やループ変数が、デバッグ中にエディタ上でインライン表示されるようになりました。


インラインポストリターン値
関数の戻り値が、呼び出し元の行でインライン表示されます。関数の実際の戻り値がすぐに確認でき、ステップ実行やウォッチ設定の手間が省けます。

デバッグ時の痒いところに手が届くような、嬉しい改善だね!
F5(デバッガ起動)のパフォーマンス向上
デバッガー起動が大幅に高速化されました。VS2022 + .NET 9と比較して、VS2026 + .NET 10では最大30%高速にF5実行できるとのことです。
テキストビジュアライザーでの検索
テキストビジュアライザー内でCtrl+Fを押すと、文字列内を検索できます。長いログ、JSONテキスト、エラーメッセージのデバッグ時に便利です。
Profiler Copilotエージェント
Copilot Chatで「@profiler」をタグ付けして質問すると、AIがプロファイラーを自動実行し、パフォーマンスボトルネックを分析します。
VS2026 Insider速報記事でプロファイラーエージェントのデモを行っているので、そちらも参考にしてください。
メモリ割り当て最適化のCodeLens
BenchmarkDotNetのベンチマーク上にCodeLensが表示され、「Optimize Allocations with Copilot」をクリックするとメモリ割り当ての最適化をCopilotに依頼できます。
Profilerエージェントのスレッド概要
Profiler Agentのチャットがトークン制限に近づくと、自動的に要約を生成して新しいスレッドで継続できます。
重要なコンテキストは引き継がれ、長時間の分析セッションでも途切れません。
プロファイラエージェントだけではなく、通常のAIとのチャットでも使いたい機能ですよね。そのうち、活用できる範囲が広がるかもですね。
BenchmarkDotNetプロジェクトテンプレート
新規プロジェクト作成時に「BenchmarkDotNet Project」テンプレートが追加されました。ベンチマーク実行後にすぐにパフォーマンス分析ができます。
新しいProfiler起動エクスペリエンス
プロファイラーの起動画面がわかりやすくなり、Copilotが最適なツール選定を支援してくれるようになりました。
長さ0の配列の最適化
空配列 new T[0] を見つけたら、Copilotがよりメモリ効率のよい Array.Empty<T>() に直せと教えてくれる機能です。
Gitツール
インラインプル要求コメント
PRのコメントがdiffビュー内にインライン表示されるようになりました。変更前後のコードとコメントを同時に確認でき、Markdownフォーマットもレンダリングされます。
Copilotによるコードレビューの質向上
ローカルの変更に対するGitHub Copilotによるコードレビュー機能の性能が向上し、コメントの質が上がっています。
Copilot ChatのGitコンテキスト
Copilot Chatで#changes(未コミットの変更)や#commit:(特定のコミット)を参照できるようになりました。
「#changesを要約して」「このコミットの問題点は?」といった質問ができますね。
ローカルコードレビューでの簡単なコメントナビゲーション
Copilotが生成したコメントがGit Changesウィンドウにリスト表示され、ダブルクリックで該当コード行にジャンプできます。
PRコメントの提案を適用
PRコメントに含まれるコード修正の提案を、ワンクリックで適用できるようになりました。
Team Explorerワークアイテムの廃止
Visual Studio内のTeam Explorerで作業項目(Work Items)を管理するUIが廃止され、Azure DevOpsのWeb版に一本化されました。
クラウド
Cloud Services (延長サポート) の廃止
Azure Cloud Services(クラシックPaaS)が2027年3月に終了するので、VS2026からはツールが削除されます。
Service Fabricツールの更新
Service FabricツールがVS同梱から拡張機能に変更されました。
Container ToolsでのPodmanサポート
Container ToolsがPodmanをサポートしました。Podman CLIを使用してコンテナの実行・管理ができます。
Podmanは、Dockerと同じ使い勝手(互換性あり)で、よりセキュア(ルート権限不要)・無料(商用でも無料)という特徴があります。

Podmanを使っている・興味があるという人には、VSで標準で連携できるようになったのは嬉しいですね。
.NET
.NET 10およびC# 14
Visual Studio 2026は.NET 10とC# 14を完全サポートしています。.NET10全体については以下の記事も参考にしてください。
C++
C++関連でも多くの機能改善があります。詳しくはリリースノートのC++、デバッグ&診断(CMake部分)を確認してください。
まとめ
Visual Studio 2026は、4年ぶりの大型アップデートとして、AIネイティブの開発環境へと進化しました。
主なポイントをおさらいします、
- AI統合 – Copilot ActionsやProfiler Agent、Debugger Agentなど、開発のあらゆる場面でAIが自然にサポート
- パフォーマンス – F5実行30%高速化など
- UI刷新 – Fluent UIベースの新デザイン、11種の新テーマ、モダンな設定画面
- デバッグ強化 – インライン値表示、テキストビジュアライザー検索、自動デバッグエージェント
- Git連携強化:インラインPRコメント表示、Copilot ChatでのGitコンテキスト参照(#changes、#commit:)、PRコメントからのコード修正
VS2022との互換性が保たれており、既存のプロジェクトや拡張機能はそのまま使えます。
AI時代における開発環境の進化を体感できるVS2026、ぜひ試してみてください!
引き続き、Visual Studioを活用した効率的な開発について一緒に学んでいきましょう。





